就職に有利なスキルとは
4点目は、就職に有利なバイトとは何か、について。
こんな会社のバイトをやっておけば就活に有利、などという「正解」は存在しない。かりに「採用されただけでも勲章」というようなアルバイト経験があったとしても、それだけで内定を得られる保証はない。ただ、「アルバイト経験を通して、社会で通用するスキルが高まる」ことによって、結果的に「就活に有利になる」、という構図は存在する。
では、その「社会で通用するスキル」とは何か。
重要なものを2つ挙げれば、それは「コミュニケーション能力」と「リーダーシップ」である。社会人にとって必要な基礎力であると同時に、就活においても採否の判断材料として重視されるものだ。
この2つは、パソコンのスキルや語学などと違って、入社後に会得しようとしても難しい資質だ。普段から発揮・活用していることが求められる。就活の面接に至るまでの人生において、場数を踏んで身につけていることが要求されるのである。
コミュニケーション能力を養う上で、接客や販売、営業職のアルバイトは圧倒的に有利といえる。苦手であっても、なにも初めから「うまく話す」必要などないのだ。社員の指示を理解して対応する。多少たどたどしくても、目の前の顧客の要望を丁寧にくみ取り、それに応えられるように行動すればよい。最初は慣れなくとも、半年も現場経験を積めば、必要なレベルのコミュニケーション力は十分身につくだろう。
リーダーシップといっても、「みんな、○○やろうぜ!」というような、率先して周囲を引っ張っていく行動ばかりが求められるわけではない。
たとえば、そんな熱いリーダーに少々「ついていけない......」感覚を抱いている後輩バイトに対して、「リーダーが言っている意図はこうだよ。君もまずは××からやっていけばいいんだから......」という具合に、「メッセージを翻訳して伝える」のもリーダーシップの一種だ。決まった方針に納得いかない風の同僚がいれば、「まあ面倒だけど、できるところからやっていこうぜ!」というように、「背中を軽く押して行動を促す」のもリーダーシップだ。
自分にとってやりやすい方法で、「何かしら物事を前に進めること」ができれば、なんでもリーダーシップなのである。学生時代のうちに、アルバイトを通してそんな経験ができれば、学生生活は充実したものになり、就活など余裕でクリアできることだろう。(新田龍)