文系は安易に大学院へ逃げ込めない 覚悟を要するこれだけの理由

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2年かけて得たものがあるか

   ところで、先ほどご紹介した『人文・社会科学系大学院生のキャリアを切り拓く:〈研究と就職〉をつなぐ実践』は、専門書ではありますが、エントリーシートの書き方などをまとめたマニュアル本的要素も含まれています。

   院生にありがちな書き方の例を紹介したうえで改善例を示しています。例えば研究テーマを示すときは、

   「専門外の人も理解できるよう、明確かつシンプルにポイントを整理しておきましょう。『専門が近しい人以外にはなかなか理解されないだろう』と思い込まずに、『自分の専門分野についてまったく知らない人の興味をそそるにはどのように伝えたらよいか』を重視してください」

と、きわめて具体的です。

   私が企業の採用担当者に聞いて回ると、文系大学院卒だからといって特に不利な扱いにすることはない、とのことでした。ただし、年齢を気にする企業はあります。

   「大学院生だから落とす、というわけではありません。ただ、2歳上でも学部卒と給料は同じです。その扱いで不満を持たないかどうか。それと、大学院に2年行ったことが、単なる逃げなのか、それとも得たものがあるのか、そこはきちんと聞きたいですね」

   文系大学院生でも、わざわざ自分から不利と思い込まなくてもいいような気が、私はします。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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