京都や奈良の歴史的建造物、東京や大阪の買い物天国、北海道や沖縄の自然。東京ディズニーランドや日光江戸村。日本には外国人が喜ぶものが山ほどあります。
そんななか、私の友人がこんなことを言っていました。
「日本の、廃墟がヤバいんです」
どうやら、世の中には「廃墟マニア」がいるらしく、欧米から中国、アジアにまで、いたるところ同好の士がいるそうなのです。
保存がよく、そそられる
「日本の廃墟は、他国の廃墟と比べて保存状態が良く、実にそそられるんです」
有名な廃墟としては、長崎の軍艦島(端島)があります。元々炭鉱だった島が、閉山にともない誰も住まなくなり、見事な廃墟となっているのです。高層アパートから、学校、銭湯などが当時の面影を残しながら廃墟と化しており、マニアにはたまらないスポットに。映画の撮影などにも使われ人気が上昇、2015年には世界文化遺産にも登録されました。
「軍艦島は素晴らしいのですが、有名になりすぎてしまい、規制が多くなって残念です。ツアーに参加して、お決まりのコースを見るしかないんです。」
どうやらマニアは、観光スポット化した廃墟では満足できないようです。
「同じ長崎の島なら、池島炭鉱のほうが自由に歩けるから楽しいですよ。団地や共同浴場もありますし。ただ、まだちょっと新しいので、あと10年くらい寝かせたらいい味が出てくると思うんですけどね。特に......」
だんだん理解できない話になってくるのでこの辺にしておきますが、マニアにとってはたまらない廃墟スポットが日本国内にはごろごろしているそうなのです。
壁の外に伝えていけば
「残念なことに、こういう廃墟情報は、日本人が日本語でブログとかに公開しているものは多いのですが、英語で書かれていないんですよね。英語も付けて、Facebookの廃墟好きコミュニティに伝えれば、もっとたくさんの人が楽しめるんですけどね」
あまりにたくさんの人が来てしまうと、環境が破壊されるなどの問題も生じるでしょうが、ともかく、日本国内にはこのように魅力的なスポットがたくさんあるのです。
そのスポットが、日本語の壁の内だけで消化されているのが惜しい。これを壁の外に伝えていけば、大きなビジネスとなり得ます。
国としては、経済規模が縮小する衰退途上国ですが、元世界第2位の経済大国であり、長い歴史をもっていますから、まだまだチャンスがあります。この国の魅力を、自国内で「すげーすげー」と慰撫しあうのではなく、外に向けてアピールすることで、豊かになっていくことは可能です。
人口減少が進むにつれて増えていく観光スポット、廃墟。
死中に活あり、衰退に廃墟あり。
「希望は残っているよ。どんな時にもね」
(森山たつを)