海外の大都市では、通りにレンタル用自転車のステーションが設置されているのをしばしば見かける。たいていはユーザー登録したり、毎回料金を払ったりして利用するシステムで、健康、エコ志向の高い欧米では珍しくない。
イギリス・ロンドンではこの秋から、オシャレなメーカー「Cooper Bikes」の自転車がレンタル用としてお目見えする。しかも無料かつ返却不要というから、ロンドン子ならずとも、ちょっと目を丸くしそうだ。
人目につくよう駐輪すること
レンタサイクルプログラム「Buzzbike」の内容をみると、車体に広告用スペースを設け、それを商店やレストラン、ブランド向けに販売し、サイクリストには無料でレンタルする。自転車が広告媒体、サイクリストが広告塔となり、ロンドンの街を快走する。
いちいち返却する必要がなく、自分の愛車のようにずっと使用できる。ただしレンタルの契約条件は、以下の通り。
勤務地がロンドン市内中心部であること
1か月に最低12日、自転車で通勤すること
人目につくよう通り沿いに自転車を停めること
月12日という最低日数は、天候やサイクリストの体調などに応じ、場合によっては変更できる。契約条件通りに利用されているかどうかは、登録制のアプリで管理される。アプリは自転車に接続されており、利用状況が刻々記録されるようになっている。
けしてダサくはない
サイクリストは申し込み時に補償金として100ポンド(約1万5000円)を預ける。契約条件を満たせない場合、補償金は戻ってこない。ライトや盗難防止のチェーン、自転車保険、故障時の修理などのアイテム・サービスは無料で提供される。
広告用の自転車と聞けば、多くの人は、社名を大書した武骨な商用自転車を想像するかもしれない。が、Buzzbikeのキャンペーン用に製作されたバイクは、見た目もオシャレ。名車「Mini Cooper」の設計者の息子が立ち上げたという「Cooper Bikes」のセンスが光る。同社のバイクは、日本で買えば12万円は下らないそうだ。
Buzzbikeはこの秋に100台、来春に1000台の投入を目標に、現在クラウドファンディングサイトでキャンペーンを実施中。サイトでは利用者の申し込みも受け付けている。氏名、連絡先、スマホの機種、通勤ルート(自宅とオフィスの郵便番号を入力)、勤務先情報などを入力する。
ロンドンは交通費が高いから、無料で自転車がレンタルできるとなると、契約条件が多少きびしくても利用者が殺到しそうだ。(執筆:中井千尋 編集:岡徳之)