前回までの3回で、成功長寿企業の経営継承の仕方についてまとめてみました。いかに、盤石な経営基盤をもっていても、継承につまずいたら、またたくまに経営は悪化してしまうことがわかりました。
さて、今回からは、長寿企業の経営者はどのような考え方をしているのか、何を大事にしてきたのか、という経営の仕方について語ってまいります。ぜひ、お勤めの会社と比較しながら、読んでみてください。
どの会社にも、良い点と良くない点があります。その中でも、成功長寿企業は、非長寿企業に比べて、良い点が多いことがわかっていただければと願います。
経営者は何を重要とするか
長寿企業の経営者に以下の7つの質問をしました。経営危機の内容、経営危機をいかに克服したか、なぜ長期の経営ができたか、よい経営には何が必要か、よい経営の継承とは、経営権と株式について、そして経営者の驕りをいかに防いできたかです。
それらの答えを筆者が考える経営の6要素、ヒト、モノ、カネ、技術、情報、哲学に分類したところ、以下のような割合になりました。
ヒト:4.0
モノ:3.8
カネ:3.9
技術:4.1
情報:3.3
哲学:3.9
これは各経営者がいままでの経営判断の中で、何を重要と考えてきたかを分類、整理したものです。
驚いたことに、技術をもっとも重要としていました。技術は、行った経営者アンケートの35番「後継者として先代から受け継ぐ重要なこと」の回答でも、6項目中第2位になりました。経営の重大要素は「ヒト、モノ、カネ」と言われた久しかった時代から、変化が起きているようです。