ソフトバンクグループの人型ロボット「Pepper(ペッパー)」の企業への導入が広がっている。ホテル「ハイアット リージェンシー 東京」や雑貨店「ロフト」などで「接客要員」に登用され、利用者や顧客への情報の周知などに力を発揮し、効果をあげたという。
ペッパーの活躍ぶりに「接客の仕事が奪われてしまうかも」と恐れをなす人も。一方で、ある調査結果からは、ロボットによる接客にまだまだ多くの人が違和感を拭いきれていないという現状も明らかになった。
バイト1人雇うより安い
産経ニュースの連載「AI新時代」に、「AIが人間の仕事を奪う時代がすぐそこまで来ている」という記事が掲載された(2016年6月12日)。
ネスレ日本がペッパーを家電量販店などで接客に当たらせ、導入店舗の売り上げが15%伸びたという事例を紹介。
さらに、法人向けリースの場合、ペッパー1台の導入により、アルバイトを1人雇うよりも月に20万円近いコスト削減ができるとの試算を示し、
「顧客情報を蓄えたビッグデータを基に、ペッパーが個人の嗜好(しこう)に応じたきめ細かな対応が可能になれば、接客業における人の優位性も失われかねない」 と、うすら怖ろしい未来予想図を描いている。
「利用したい」は4分の1
ペッパーの快進撃とは裏腹に、ロボットの接客に対するネガティブな評価も聞こえてくる。
クロス・マーケティングが実施した「コミュニケーションロボットによる接客に関する調査」(16年5月31日結果公表)では、ロボットによる接客を「利用したいと思わない」と答えた人が43.3%にのぼり、「利用したい」の24.7%を2倍近く上回った。
利用したいと思わない理由の第1位は「会話の微妙なニュアンスなど、人間の接客の方が良い・勝っている」(27.4%)。「人間より時間や手間が掛かりそう(動きの遅さ・会話のぎこちなさなど)」(26.9%)が続き、「ロボットの接客自体が嫌だ」(25.4%)と完全否定の人も4分の1程度いた。
ちなみに利用したい理由のトップ3は「楽しそう」(50.0%)、「気を遣わなくて良さそう」(39.5%)、「分かりやすい接客・案内・提案を受けられそう」(37.2%)だった。
ロボットの接客を体験したことがある人(7.1%)は、ダントツで「楽しい」と評価(67.1%)。以下「親しみやすい」(49.4%)、「気軽に利用しやすい」(41.2%)と続いた。
まだまだロボット接客に違和感を覚える人が少なくないようだが、数字を見るかぎり、実際に体験してみたら好印象を受けるということのようだ。導入企業の増加につれて、人々の抵抗感が払拭されれば、街のお店はロボットだらけという未来も、まんざら来ないとも言えないのだろうか。(MM)