第一志望にふられ岐路に立つ学生よ 再アタックもいいが進むべきはこの道

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この選択肢の一択だろう

   では、大学院進学という選択はどうでしょうか。技術職・研究職採用の多い理工系はさておくとして、ここでは文系に絞って。

   文系の場合、就活がダメだった時の緊急避難先として、1990年代後半から大学院に進学する学生が微増を続けています。本気で勉強に打ち込む学生もいます。90年代までは、そもそも大学院進学者が少なかったこともあり、企業は文系の大学院生というだけで敬遠材料にしていましたが、最近はそれほどでもありません。ただ、年齢から採用を躊躇する企業はあります。

「大学院卒だからといって大卒よりも高い給料は出せませんし、そもそも院卒に対応した給料体系を作っていません。作る気もないですし。それで満足してくれるのかといえば、やはり難しいのでは」
「給料体系は、能力と年齢に応じています。つまり、大学院修了者はスタート時に大卒と同じであっても、翌年以降、大卒よりも給料が高くなってしまいます。それに見合った働きを期待できるかどうか、という見極めになりますね」

と企業により見方はさまざま。中には、文系の大学院修了者を評価する企業もあります。

「下手な大卒よりも勉強熱心で、基礎能力が高い。優遇する、とまでは言わないけど、採用はしたい」

   なお、学生が想像している以上に、大学院生は就活と勉強の両立が大変です。それを覚悟した上でなら大学院進学はありではないでしょうか。もちろん、それで第一志望の企業への再アタックが成功するかは別問題ですが。

   というわけで、残った選択肢は「就活を継続」。就活に失敗した学生の多くには、この選択肢の一択ではないでしょうか。あまり迷いようがありません。

   今年は売り手市場でありながら、準大手・中堅がむしろ7月以降に内定出し(大手は6月)という、ねじれ現象を起こしています。内定辞退や夏・秋以降の採用は8月以降に本格化します。

   第一志望の企業にこだわるかどうかはさておき、そこまで就活を続ければ、第一志望とは別の、いい企業に出会えるはずです。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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