第一志望にふられ岐路に立つ学生よ 再アタックもいいが進むべきはこの道

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なぜ売り手市場に背を向ける

   そうした再アタックの可能性を踏まえ、1番目の就職留年と2番目の就職浪人をまとめて考えてみましょう。来年再び就活に挑戦する点では同じ、大学に籍を残す、残さないが違うだけで、あとは変わりません。大半の企業は、卒業後3年以内であれば新卒扱いにします。

   まず、再アタックを受ける第一志望企業でなくても、なぜ、わざわざ就職留年・浪人を選択したのか、という疑問はどの企業側にも生じてしまいます。

   2017年卒は、近年になく選考基準が緩いと言われるほど、学生有利の売り手市場。その恵まれた状況でわざわざ就活留年・浪人を選択するのは、よほど就活にまじめに取り組んでいなかったか、あるいは就活以前の問題なのか、と疑われかねません。

   来年の18年卒の採用も、今のところ売り手市場が続く、と言われてはいますが、それはあくまでも現状での見込み。現実にどうなるかはわかりません。就職留年・浪人をしたから有利になる、という確かなメリットもなく、先行きどうなるか分からないというデメリットもあります。

   そう考えると、就職留年・浪人はお勧めできません。

   卒業して世界放浪やフリーターをしてから就活に戻る、という考え方も留年・浪人と同様、あまりお勧めできません。

   出版やデザインなどのクリエイティブな仕事であれば、世界放浪などはプラスに働くことがあるかもしれません。あるいは、看護師など、帰国してからすぐにでも就職可能な国家資格を持っている場合も問題ないでしょう。

   フリーターとして働くのでも、フリーターから正規雇用への道が開かれている飲食・流通などの仕事であればそれもありかもしれません。しかし、まったく無関係の業界・企業に就職しようとした場合、「なぜ20代前半という大切な時期をフリーターで過ごしたのか。そもそも経験した職場は人材育成の教育投資がゼロに近く、社会人としての基礎がなっていないのではないか」と、疑問をもたれてしまいます。

   正規雇用の場合、多くの企業では新入社員研修を実施します。挨拶のしかたなど基礎的なものから、社内レポートの書き方などまで。バカらしいという意見もなくはありません。しかし、長い目で見れば、社会人の基礎を固めるのは重要なことです。

   フリーターにはそれがありません。いくら「新卒3年以内は新卒扱い」と言っても、フリーターというだけで敬遠されるのは、そういった事情があるからです。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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