多くの会社にとって、新人教育は大きな課題のひとつだ。優しすぎては育たない、厳しすぎても「パワハラ」と反発されかねない。絶妙なバランス感覚で新人に接することが重要だが、実践できている職場はそう多くはないのではないか。
ネットを見回すと、「行き過ぎた教育」がもとで新人が次々と去って行ってしまっている職場もあるようだ。
有望株ばかり潰されて
サイト「掲示板ミクル」に、「新人教育の悪循環」というスレッドが立てられた(2016年5月28日)。
投稿者が勤める会社の新人教育係は、「怒られる内が花。怒られなくなったら終わり。どんどん先輩に怒られろ。それが起爆剤になってぐんぐん育つ」という考え方。しかし、ぐんぐん育つどころか、「新人の怒り方がイジメかと思うぐらいハンパではなく次々と辞めてしまいます」。
怒られるのは「素直な子、実際よく動くエースになり得る子だなと思う子」で、「変わった人、反抗的な人等問題ありそうな人」については「話もしたくない」と、教育されないのだとか。
有望株ばかりが辞めたり、急に休んだり、数日間連絡が取れなくなったりするので、「職場の空気は最悪」だそう。投稿者自身もいよいよ辞めたくなっているというが、どこに行っても同じなのか......と悩んでいるようだ。
己の指導に間違いはない、か
「『厳しく育てなければ』という意識が新人に対して感情的な横柄で高慢な態度に出てもいいという言い訳や逃げ道になってますね。うちの店の責任者もそうですわぁ」
「教育係は初めから優しくすると新人は付け上がるから優しくするな!と言うんだよね。誤った指導で何人も辞めていったのに、己れの指導に間違いは無いという。本当にバカにつける薬はない...ですよ」
と、回答者からは、投稿者と同様、鬼軍曹的な教育係に困り果てているという声が。
反対に「ユルすぎてダメ」な事例も寄せられている。
「うちは全くの逆で教育係がちゃらんぽらんの遊び半分みたいな人なんで新人は舐めて仕事しなくなりますね。シフトも全然守らなくって自由出勤状態です。穏やかといえばかなり聞こえがいいんですけどゆるい雰囲気でダラダラと時間潰してるだけで...それに耐えられない動く人が損をする職場になっています。ちゃんと厳しい事もいえる人がほしいですね」
こうした極端なケースとまではいかなくとも、新人教育がうまくいかず、悪戦苦闘している人は多いだろう。
社員研修・人材開発の情報サイト「PHP人材開発」では、「やって当たり前のように上から目線で指示する上司、パソコンを見ながら部下の報告を聴く上司、イライラする感情を顔や態度に出してすぐに怒る上司」のもとに配属されてしまった新人はすぐに辞めてしまうと警告。
新人に対しては「業務日報を書かせる、フォローアップ研修を実施する、メンター制度を取り入れる」という具体的なフォローを提案。
さらに「多くの上司は自分が育てられたようにしか育てられない」「新入社員の価値観や育った環境を理解していない」と指摘して、新人を受け入れる側の上司・先輩への「教育」が何よりも不可欠だとしている。(MM)