宴席で酒を無理強いするなど、飲酒にまつわる人権侵害を指す「アルコール・ハラスメント」(アルハラ)が近年問題になっている、。一気飲み、酔って絡む、などのほかに、体質的に飲めない人に酒を勧めることもハラスメントとされる。そういう理解が社会に広く浸透しつつあるなか、若い世代対象の女性誌が「働く女のマナー」として「飲めない人も、薄めのジントニックで付き合いましょう」と勧めているから、ネット上で怒りが噴出した。
周りの人に気を遣わせないように
「『知的・上品・趣味がいい』働くアラサー世代のためのリアルファッション誌」をうたう「Oggi」(小学館)が2016年5月号に、「知りたかったのはこれなんです! 真実のマナーBOOK」という特集を掲載した。
「働く私たちに求められるのは、『基本』をふまえて、状況に合わせて『応用』するスキル! これまでのマナーブックには書いていなかった、本当のマナーを教えます!」
という触れ込みで、「働く女のマナー検定」として15の問題を読者に出題。その第8問で「お酒が苦手なあなた。場の空気を読み、周りの人に気を遣わせないようにしながら、無理せずお酒の席に参加するにはどのようにするのがよい?」と問いかけた。
選択肢は「A 女は気合いだ!乾杯はビール!」「B 薄めのジントニック」「C 最初からウーロン茶」。
模範解答は「B」だ。
「やや強めのお酒を『ゆっくりいただきます』とグラスに口をつける程度にして置いておくのが◎。無理してビールを飲みきるよりベター」と解説が付されている。
このマナー判断に「激怒した」あるツイッターユーザーが、紙面の撮影画像とともに怒りのメッセージを投稿(16年5月25日)したことで、ネット上に、にわかに怒号が。
「これはいけませんね。飲めない人は絶対飲んではいけません」
「【すみません、烏龍茶で失礼します】で、いいだろー」
「アルコールアレルギーの私には死刑宣告」
など、非難が相次いだ。
飲まない人が飲む人に気を遣うのではなく、飲む人が飲まない人を思いやって「ウーロン茶ください!」を許容する、それこそが「マナー」として共有される世の中になってほしいものだ。(MM)