人は自ら失敗しやすくなる行動を取る ゆえにやらされ感満載だと職場は

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ストレスを感じると飛び出す

   一番びっくりしたのはT課長本人でした。どちらかと言えば自己主張が少なく、放任主義といってもそれは結果放任管理というべきもので、これまでの店舗では実績が上がらず昇格が遅れていたところ、今度は同じやり方で驚くほどの成果が上がったのですから。恐らく、元々やらされ感満載でセルフ・ハンディキャッピングに溢れていたチームですから、自分の好きなやり方でのびのび取り組める環境転換にストレスが激減して、皆のやる気が一気に大増進したのだろうと、当時を振り返って思います。

   経験者としてつくづく思うことは、セルフ・ハンディキャッピング言動は、実は何より言っている本人がものすごいストレスを感じているからこそ出てくるのです。さらに、その言動が前向きな行動に集中することを阻害します。やらされ感の悪循環そのものです。課長の交代により、知らず知らず日々自分に溜め込んでいたストレスが吹き飛び、まったく違う展望が見えた――そんなこともあるのだと今でも不思議に思います。

   皆さんの会社で、社長がワンマンで細かい指示を出し陣頭指揮を執っているとしましょう。それでも実績が上がらず、仕事に取り組む前から社員にムニャムニャした言い訳が目立つようなら要注意! 社内にやらされ感が充満し、社員がストレス状態にあるのは間違いありません。そんな折には、社長は指示や管理をさらに強化したくなる気持ちをグッと抑えて、思い切って一歩引き、個々の社員の主体性重視へと管理のやり方を転換すると、それが思わぬ打開策になるかもしれません。

   心理学の専門家から聞いたセルフ・ハンディキャッピングの話に、そんなことを思った次第です。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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