人は自ら失敗しやすくなる行動を取る ゆえにやらされ感満載だと職場は

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   心理学の先生から興味深い話を聞きました。

   海外で行われた心理学実験のお話です。学生100人に、「これから新薬モニター実験を実施する」と宣言し、新薬の効果と個々人の能力水準の関係を調べる試験をするむねを説明して、出題例としてとても難易度の高い問題を事前に見せておきます。その上で、「思考力がアップする可能性がある新薬と、思考力がダウンする可能性がある新薬を用意したので、試験前にどちらか好きな方を選んで飲みなさい」と言うと、なんと90人以上の学生は思考力がダウンする可能性のある薬のほうを選んだといいます。

ダメな奴と思われたくないから

やらされ感を吹き飛ばせ
やらされ感を吹き飛ばせ

   この現象を「セルフ・ハンディキャッピング」と呼ぶそうです。すなわち、失敗の恐れがある事態を前にすると、人は、自らの評価や評判を気にして失敗の言い訳の材料になりそうなことを事前に探すというのです。そして現実に、そのような行動をしてしまうそうです。

   セルフ・ハンディキャッピングの身近な例として先生が挙げたのが、試験前になるとなぜかその時に読まなくてもいいような本を読みたくなったり、見なくてもいいようなテレビを見てしまったりして、翌朝学校で「昨日は夜遅くまで本を読んじゃって(テレビを見ちゃって)、ろくに勉強してないんだ」などの言い訳をするケースです。誰しも似たような経験が少なからずあるのではないでしょうか。

   「失敗した時にダメな奴と思われたくない」といった気持ちが、「失敗しやすくなる行動」を実際に起こさせるという心のメカニズム。それは、やらされ感が強い事態に直面し前向きになれない時ほど働きやすくなるのだそうです。余計な試験を受けさせられる新薬モニター実験もそう、学生時代の定期試験などまさにやらされ感満載です。セルフ・ハンディキャッピング行動が出やすくなるのはそのためなのでしょう。

   この話を聞いて思い出したことがありました。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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