福岡市のIT企業がこのほど、オフィスの個室トイレの空室状況をスマートフォンなどで確認できるシステムを開発し、2016年5月から自社ビルでの運用を始めた。空いたトイレを探してうろうろしたり、仕事場とトイレの間を何度も行き来したりするなどの時間を減らし、ES(従業員満足度)向上につなげるのが狙いだという。すでに利用を始めた従業員からの反応は上々で、「ないと不便に感じる」といった声も聞かれるという。
従業員の要望から開発に着手
開発・導入したのは富士通九州システムズ。個室トイレの扉に磁気センサーを設置し、開閉情報を収集、そのデータをクラウド上に送ることで、利用状況がパソコンやスマートフォン、廊下などに設置された表示灯で確認できる。閲覧できる情報を男女別に分けるなど、プライバシーにも配慮。急病などの緊急事態に備え、一定時間の利用が続いた個室内に自動で音声を流して安否を確認する機能も付加できるという。
開発のきっかけは、従業員から総務課に寄せられた「時間帯によってトイレが混雑しているので、対応してほしい」という要望だった。こうした不満を受け、「ICT(情報通信技術)対応が最も遅れている」トイレの利用状況改善に向けシステム構築に着手したという。
このシステムの企画から導入まで全面的に携わった富士通九州システムズの担当者は、6月3日のJ-CASTニュースの取材に、
「トイレの利用状況は、すなわち企業のストレスのバロメータと捉えることができる」
と話した。利用データを分析することで、従業員の心の健康をチェックすることもできるという。利用者からは、「あと何分で空くのか分かるほうがいい」という改善提案も届いているそうだ。
同社によれば、すでに富士通グループ各社をはじめ多くの企業から引き合いがあり、医療関係や大型商業施設など、オフィス以外の様々な空間への展開も目指すという。