ある意味タイムマシン経営
この分割払い、イオンマイクロファイナンスというイオン系列の金融会社が融資します。つまり、利子分の194ドルもイオングループの懐に入るわけです。スマホ1台売って、粗利がいくらであるかは知りませんが、それに加えて194ドル利益が出るというのは、無茶苦茶おいしいです。
かくして、街中の携帯電話屋やバイク屋にはイオンの旗がはためいており、分割払いという名でお金を貸してくれます。イオンは、小売りよりも金融で儲けているのではないかと思えるくらいに、おいしいビジネスです。
まあ、このようなビジネスは、バブル期の日本にもありました。丸井は大学生に赤いカードを持たせ、分割払いで高い服を買わせて稼いでいました。イオンのこれも、ある意味タイムマシン経営です。
ちなみに、イオンマイクロファイナンスは、2015年10月専門銀行ライセンスを取り社名をイオンスペシャライズドバンクに変更、イオンゴールドカードをはじめとしたクレジットカードを作りました。着々と金融事業の足場を作っています。
しかし、自分の給料の額から考えて大きな負債を追ってしまうことに不安を感じないのでしょうか? この疑問に対しても、バブル期の日本の若者と同じような答えが返って来ます。
「これから、給料が上がるから大丈夫」
バブル期の日本には年功序列制度というものがあり、年を取るほど給料が上がっていました。だから、今日の支払いはきつくても、来年になれば軽くなると、本気で信じられたのです。
カンボジアの場合、そんな制度はありません。しかし、彼らは欲しいものがあったらすぐに買う、安いと思ったらすぐに買う。貯金なんてしない。そういう即断即決刹那的な生き方をしています。
こうして、しばらく経ってからの給料日に、「サー。給料が足りなくて生活できないから、給料を上げて下さい、サー」と言ってくることになるのです。(森山たつを)