あなたの会社、経営陣は仲が良いですか? もし不和だったら・・・

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継承の成否は人間関係で決まる

   この継承期間中に、継承する者同士の人間関係が良好かどうか。実は、これが経営の継承に大きな影響をもちます。後継者が、先代経営者を超えたいと思うのは自然なことです。しかし、それは先代を否定することではなく、先代を認め、良いところを伸ばし、良くないところは経営が完全に委譲されるまでは手をつけないぐらいの寛大さが、後継者には必要です。ところが、机上で理想を語るのは容易いことですが、非常に難しい。

   ある商社の社史を作ったときのことです。父である創業者と、長男である後継者は社史の取材に席を同じくせず、日常的に互いが顔を合わせないようにするほど、関係が悪化していました。ひとりずつ別に話を聞くと、内容に大きな問題はなく、立派に経営をしているようでした。しかし、2人の間に意思疎通がほとんどありません。

   会社は株式公開まで進みましたが、公開したとたんに業績が悪化。14年後には身売りするはめになり、多くの社員が会社を去ることとなりました。企業は外からの圧力で潰れるよりも、内部の不仲や亀裂によって、その力を失ないます。

   さて、あなたが勤めている会社はいかがですか。経営陣は仲がよいですか。現在の経営者と後継者はよい関係をもっているでしょうか。それは会社を維持、継続してゆくのに、何よりも重要な問題なのです。(浅田厚志)

浅田厚志(あさだ・あつし)
青山学院大学総合研究所・客員研究員で、長寿企業の経営哲学などを研究中。「出版文化社」代表取締役社長でもあり、創業以来、多くの社史・記念誌の企画制作や、出版企画プロデュースなどを手がけている。著書に『成功長寿起業への道』など。
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