セブンのコーヒーメーカーは
『新しいニッポンの~』にしろ、『就職四季報』にしろ、あるいは私が売り込み中の新書企画にしろ、読む人は読むだろうと思います。特に当コラムを毎回読んでくれている読者は大丈夫でしょう。問題は読まない人です。
私が学生に優良企業の話をすると、特に就活中盤から後半にかけて、「そんな企業、知らなかった」と言います。それくらいならまだしも、「誰もそういう話、教えてくれなかった、不公平だ」とまで言い出します。
そうかあ? 誰からも教えてもらえなかった学生が、みんな優良企業を知らないままかと言えば、そんなことはありません。知ろうとする努力をした学生は、たとえばセブン‐イレブンのコーヒーメーカーを作っているのが富士電機で、重電機器メーカーでは日立製作所、東芝、三菱電機に次いで4位の優良企業であることを知っています。
こういう不公平感、企業選びだけでなく就活の時期論争にもよく飛び出します。2016年6月2日付け日本経済新聞の記事「面接解禁 はや内々定」の結びの部分にこんな一文がありました。
「経団連は7月以降に採用活動の実態を調査し、18年卒の学生向けの採用活動の方針を決める予定だ。すでにルールの形骸化が進んでおり、学生間の不平等を生まない採用のあり方を模索する必要がある」
7月に実態調査ということはまとめるのが10月ごろ。そこから、かりに時期変更をするにしても、広報解禁時期は動かせないでしょう。ということは、2018年卒は現状維持の「3年3月広報解禁・4年6月選考解禁」。「3年12月広報解禁・4年4月(ないし6月)選考解禁」という時期変更は、早くても2019年卒以降となることが濃厚となった、ということです。そして、その変更がどの学生にとっても不平等にならないように、と。
要するに不公平感を生むな、というわけですが、私は「それは無理な話」と考えます。就活時期をいつにしても、無関心な学生は無関心なまま。自分が知らないままでいることを棚に上げ「不公平」「不平等」と文句を言うのは、何か違うのではないでしょうか。
大学受験までは、決められたルールにのっとって事が進められます。が、ひとたび社会に出れば、ルールはあるような、ないような曖昧な状態です。その第一歩が就活という現実なのではないでしょうか。