目上の人への言葉遣いは気を遣うものだ。「ご苦労様」が失礼にあたるというのは広く知られるところだが、一般に目上や同僚に用いるとされる「お疲れ様」も、そもそもは目上が目下にかける言葉で、場合によっては違和感をもって受け止められることもある。ほかにも何の気なしに使った言葉で眉をひそめられてしまった......という苦い経験がある人も少なくないだろう。
それでは、異動する上司に対して「頑張ってください」は正しいのか?
下の者に言う言葉?
Q&Aサイト「OKWAVE」に、「『異動先でも頑張ってください』と言うのは失礼ですか」というトピックが投稿された(2016年5月23日)。
若手社員が55歳の課長に「異動先でも頑張ってください」と見送りの言葉を言っていいものか悩んでいる様子。「『頑張ってください』って言うのが上から目線になりますか?」と、意見を求めている。
回答者からは、
「寄せ書きとかメールなら『お体にも気をつけて』『ご活躍ください』が正式でしょうが、口頭ベースでは『頑張ってください』で全く失礼にはあたりません」
「本当にかしこまった席では微妙かも知れないですが、それなりに普通に喋れる上司であれば、『お体にお気を付けになって頑張ってくださいね。』っていっても嫌な気分になる方は少ないと思います」
と、栄転ならば問題ないのでは、という判断が示される一方、
「頑張るという言葉はやっぱり、酸いも甘いもまだ自分では分からない若者にこそ、似つかわしい気がします。基礎がないから、ちょっと頑張っただけでは何も見えないし不安が尽きない、そのグレーな期間を乗り越える為に(とにかく)頑張れ、頑張ればいずれ何か見えてくる、と後押しする意味があるのだと思います」
「頑張れというのは、下の者に言う言葉だと思います。『新天地でも、ご活躍をお祈りしております』『ご栄転おめでとうございます、陰ながら応援いたします』私ならこう話すかな?」
と、年長者への贈る言葉としては首をかしげる人もいた。
上手な言い換え方は
上司とフランクに話せる関係性が築けていれば問題ないかもしれないが、人によっては不愉快に感じる可能性もなくはない。投稿者のようなケースでは、「頑張ってください」は避けたほうが無難かもしれない。
では、「頑張ってください」という気持ちを目上の人に伝えたい場合はどういう言い方が適切なのか。
ウェブマガジン「JOOY」では、「頑張ってください」の上手な言い換え方を紹介している。
多様な目上の人に幅広く使える便利ワードが「お祈りします」だ。「××が無事うまくいくことをお祈りいたします」「ご健闘をお祈り申しあげております」といった言葉で、「成功するよう頑張ってください」という気持ちが敬意とともに伝えられる。
ほかに「応援します」というワードを使えば、「心より応援させていただきます(応援しています)」「陰ながら応援いたしております」となる。相手が疲れている時などには「どうぞご自愛ください」も使える。(MM)