筆者の40年にわたる経験から「メンタルヘルスに良いヤキトリ上司」を提唱しています(本コラム2016年1月7日付け「社員を救う『ヤキトリ上司』 ダメにする『アホウ鳥上司』」参照)。
ヤキトリ上司は、「震災級のトラブルなど事態が逼迫する場面で、部下がついていきたくなるリーダー」を調査した結果生まれたリーダーシップ像です。すなわち部下に「や」さしい、仕事に「き」びしい、「と」っつきやすい、「理(り)」性的という4つの資質の頭文字をつなげたものです。それらを貫く串は「志」です。ヤキトリ上司は、部下に最も尊敬されるリーダーの一つの典型です。
客観的に把握するには
最近、私の知り合いにも、「自称ヤキトリ上司」が増えてきました。あくまで「自称」ですから、自分は素晴らしいヤキトリ上司だといくら吹聴しても、実際のところ、部下は「いやー、うちの上司は、そうでもないよね......」と思っているかもしれない。そういうコミュニケーションのずれが案外多いようなのです。
孫子は「己を知り、敵を知れば百戦危うからず」と述べていますが、己のリーダーシップを客観的に評価し、把握するのはなかなか難しいものです。そこで、部下が本当に自分のことをヤキトリ上司と思って尊敬しているかどうか、判別するためのチェック法を考えてみました。
(1)ダイヤモンド・ヤキトリ上司=「飲みに行こうよ」と部下を誘ったとき、たとえば「課長と飲むと、人間性が高められます。今日は、私におごらせてください」と返ってくるような上司です。本当に素晴らしい上司であれば、一緒に飲んで話を聞くだけで自己成長につながるので、自腹を切ってでも行きたくなります。
(2)プラチナ・ヤキトリ上司=「飲みに行こうよ」と部下を誘ったとき、「今日は、ちょっと用事があります」と理由を述べた上で断られる上司です。一緒に飲んで話を聞くことは拒否していないので、基本的に信頼されていると見ていいでしょう。
(3)ゴールド・ヤキトリ上司=「飲みに行こうよ」と部下を誘ったとき、「行きたくありません」と断られる上司です。一緒に飲んでも自分の成長につながらないと思っているのかもしれません。
(4)ベーシック・ヤキトリ上司=「飲みに行こうよ」と部下を誘ったとき、「時間の無駄に思えます」ときっぱり拒否される上司です。他の事に時間を使うほうがましだと思っているのです。