いかに「社員との良好な関係」築くか 長寿企業がそれを重視する理由

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長寿企業は社員の雇用を守ることが第一

   同族経営者は、筆者の調査では75%以上の株式をもっています。ということは、役員はもちろんのこと、経営をチェックする監査役まで任命、解任する権限があります。よって、経営権から言うと、社員に媚びる必要はまったくありません。しかし、「奢る平家は久しからず」。普段の営業、製造、管理部門の現場は、社員の工夫、才覚、努力によって成り立っています。

   長寿企業は、そのような関係を長年の経営から熟知しており、いかに、社員との良好な関係を、日頃から築いていくかに腐心しています。

   長寿企業と言えども、最初はビジネスの内容そのものが目的であったのが、長年の間に、組織そのもののために動くようになっています。つまり、会社を維持するために、社員の雇用を守ることが第一の目的になっているのです。

   あなたの会社は、社員のやりがいや自己実現に、どれほどの関心をもっているでしょうか。それは同族経営を続けていく会社なら、なおさら重要な問題なのです。(浅田厚志)

浅田厚志(あさだ・あつし)
青山学院大学総合研究所・客員研究員で、長寿企業の経営哲学などを研究中。「出版文化社」代表取締役社長でもあり、創業以来、多くの社史・記念誌の企画制作や、出版企画プロデュースなどを手がけている。著書に『成功長寿起業への道』など。
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