速報!就活戦線 ばっさり切られ涙の学生、浮気な彼らにとほほの企業

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オワハラは下火に

   一方の企業は、と言えば、こちらも同じ心境。説明会・選考のドタキャン、内定を出しても辞退、そう簡単に内定承諾にまでたどり着きません。それも例年の光景とも言えますが、今年ちょっと異なるのは、学生の企業理解の浅さです。採用側からは、

「勢いで就活に参加したものの、『本気で就職したい』というよりは周囲に流されてとりあえず参加、という学生が去年以上に多い」
「内定が出てから、うちでいいかどうか、と考えだす学生が目立つ」

   などのぼやきが聞こえます。

   背景には、就活期間の変化があります。2016年卒については3年生の3月広報解禁~4年生の8月選考解禁でした。8月より前に選考・内定出しをしている企業が大半だったとはいえ、少なくとも5か月間は学生が企業選びなどを考える余裕があったのです。

   しかし、今年(2017年卒)は3年生の3月広報解禁~4年生の6月選考解禁。考える余裕は、わずか3か月しかありません。2か月の短縮により、はやばや内定を取る学生であっても、企業理解の浅さという期間短縮の弊害が露呈してしまうのです。

   2014年ごろから問題になった、オワハラ。内定した学生に他社の選考辞退や内定辞退を強要するハラスメントの一種ですが、今年はかなり沈静化しました。

   企業からすれば、オワハラをやったところで逃げる学生はどのみち逃げてしまいます。しかも、悪い評判は外に漏れ出てしまうため、下手にやらかさないほうがいい、と学んだようです。ただ、学生への接し方に慣れていない一部の企業やリクルーターなど若手社員の場合、結果的にオワハラになる、というケースは存在します。

   フィードバック面接(面接終了後に学生に結果をフィードバックする)も導入企業が増えました。学生の満足度を上げるために、選考中に現役社員・役員らが食事を伴にする懇親会を実施する企業も増えています。学生を親身に指導する、というコンセプトですが、これが逆効果となるケースもあります。

   ある企業で、採用担当の課長補佐がフィードバック面接にやって来た学生を顔面蒼白にさせてしまいました。指定のあったエントリーシートを持参しなかった学生に非はあるのですが、その課長補佐は、こんなふうにやんわり教え諭したといいます。

「エントリーシートを持参するよう、事前に伝えているはずですよね。それを忘れた、ということが社会人になろうとしている君にとって、善なのか悪なのか、ちょっと考えてもらいましょうか」

   内容は辛らつそのもの。「これ、面接とは直接関係ないですけどね」と言い添えても、全然フォローになっていません。この話を教えてくれた、上司の人事担当部長はため息をつきながらこう認めていました。

「親身の指導どころか、パワハラ認定ですよ、あれで」
石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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