「働き方改革」の方向性は評価
一方、従来のスタンスから大きく前進した部分もある。それは、改革の本丸が労働市場改革であることに言及した点だ。本プランでは新・三本の矢の説明の後にわざわざ一章「2.一億総活躍社会の実現に向けた横断的課題である働き方改革の方向」を割き、以下のように解説している。
最大のチャレンジは働き方改革である。多様な働き方が可能となるよう、
社会の発想や制度を大きく転換しなければならない。
本連載がたびたび指摘してきたように、経済停滞や少子化といった問題の根っこに横断的に存在しているのは、硬直した労働市場の問題だ。それを明言した点は、とりあえず現政権が進むべき方角を(実際に進むかはともかく)向いてはいるということを示しているように見える。
もちろん本プランが身のある形で実現するためには、これから長いいばらの道が待っている。だが逆に言えば、アベノミクスが急失速し、野党も対案を示せぬまま安保問題に逃げ込んでいる今こそ、多くの有権者が政治からのメッセージに耳を傾けてくれるという意味でチャンスではないだろうか。
筆者はこの夏、衆参同日選挙が行われる可能性がいまだ高いと考えているが、その際はぜひとも与党には本プランを掲げて争点にしてほしいと思うし、野党には正々堂々それを上回る真・一億総活躍プランをぶつけてほしいと願っている。(城繁幸)