特例社団法人滋賀県茶業会議所が販売している「極煎茶(きわみせんちゃ)最澄」の商品名が変更されることになった。最澄を開祖とする天台宗の総本山・比叡山延暦寺から「信仰の対象が呼び捨てにされたり、商品として扱われるのは忍びない」との意向を伝えられ、会議所側が配慮したため。滋賀県茶業会議所の担当者が2016年5月26日、J-CASTニュースの取材に答えた。
最古の茶葉産地をアピールしようと
13年に発売された「極煎茶最澄」(60グラム、1080円)は滋賀県産の最高級茶葉を商品化したもので、淹れた茶の色が黄金に近く、舌触りがまろやかなのが特徴。「日本最古の茶の産地」とされる同県の茶葉をアピールするため、日本に初めて茶を伝えたとされる最澄の名前を採り商品名とした。滋賀県茶業会議所によると、茶は最澄が持ち帰った種を比叡山麓(大津市)に植えたのが国内の発祥だという。
だが、ひょんなことから、最澄を開祖と仰ぐ天台宗の総本山から「物言い」がついた。
16年3月、延暦寺の森川宏映・第257世天台座主の就任にあたり、滋賀県茶業会議所の担当者が「最澄」を持参。商品を見た森川座主は「自分たちの信仰対象が呼び捨てにされたり、使い終えた後にゴミとして捨てられるのは心が痛い」などといった感想を漏らした。
延暦寺側の反応を重く受け止めた滋賀県茶業会議所は、商品名の変更を決定。16年9月15日に販売される今年産の分から名称やパッケージを変え、これまで使用していた宣伝用ポスターなどを廃棄する。