ハンバーガー店を運営するウェンディーズ・ジャパンは、サントリーホールディングスの子会社で同業のファーストキッチンの全株式を買収する。2016年5月23日、各紙が報じた。首都圏を中心に全135店を展開するファーストキッチンの店舗網を活かし、事業を大幅に強化する狙いだ。こうした攻勢の背景には、国内最大手の日本マクドナルドの低迷がある、と指摘するメディアもある。
再進出後も苦戦し今や1店舗のみ
ウェンディーズは米国のハンバーガーチェーンで、1980年にダイエーグループが日本に誘致。米本社とフランチャイズ契約を結び、日本法人「ウェンコ・ジャパン」を設立した。作り置きをしないなどのサービスで高級路線を進み、90年代後半には全国に100店舗を展開するなど健闘したが、他社との価格競争に巻き込まれたことなどを背景に、フランチャイズ契約の終了にあわせ2009年に完全撤退。
その後、米本社の意向もあり、11年3月に日本再進出。5年で70店舗を展開する計画を描いていたが思惑通りに進まず、13年に旗艦店の表参道店を閉店。15年8月には直営店が東京・曙橋店の1店だけに追い込まれるなど、苦戦が続いていた。価格は「ウェンディーズバーガー」が税込490円、最も安いチーズバーガーが同250円。
こうした状況で報じられた、今回の買収劇。ファーストキッチンの店舗規模は業界5位で、経常利益は2年連続で増益と好調に推移していたが、事業の集約を目指すサントリーの方針もあり、売買契約が成立したという。
外資勢がガリバーの隙つく
ウェンディーズの攻勢を、16年5月24日付け日本経済新聞朝刊は、「マックの隙突く」との見出しで取り上げた。
記事では、異物混入問題などで日本マクドナルドの15年12月期の売上高が前期比15%減になったことを、「ガリバーが苦しんでいる」と表現。事業拡大に打って出るウェンディーズをはじめとした外資勢が、国内シェア7割前後ともいわれるマクドナルドの「隙を突いている」などと分析した。
ファーストキッチンの買収についてウェンディーズ広報担当者は16年5月24日、J-CASTニュースの取材に「株式の売買契約を締結したことは事実」とだけ話した。