勤務終了から翌日の始業まで一定の間隔を保障し、従業員の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」。EU加盟国では1993年から「24時間につき最低連続11時間の休息時間」を義務化していて、近年は日本企業でも、KDDIや三菱重工業、NECなどが採り入れている。
そうした制度を、厚生労働省が企業に奨励していく構えだ。恩恵に浴するビジネスパーソンからは歓迎の声が上がる一方、制度の内容には疑問や不満の訴えも相次いでいる。
最大100万円の助成金
勤務間インターバル制度について報じたのは日本経済新聞(2016年5月4日付朝刊)だ。記事によると、この制度を就業規則に明記した企業に、早ければ17年度から、厚労省が最大100万円の助成金を支給する。長時間労働の削減や有給休暇の取得促進に取り組む中小企業を対象とする「職場意識改善助成金」に加えられるもので、何時間インターバルが空ければ助成金が出るかは、これから決まる。中小企業以外に対象が広がる可能性もある。
さらに、現在企業が退社から出社まで何時間空いているか、実態調査にも乗り出すとのことだ。
一歩前進だけど
過酷な長時間労働が改善されそうな制度ということで、ツイッターでは、
「これ欲しい おそくまで仕事して次の日遅刻で怒られるの納得いかん」
「やれやれー!! 12時間を切る日が続くとだいぶ辛いしな」
「こういうのは上から言われなきゃなかなかやらないからどんどん推し進めて欲しい」
など、歓迎する声が上がっている。
今のところ中小企業が対象ということなので、「役人向けもたのむ」「研究室にも設けてくれ~」と、自身の職場にも是非、という願いも。
一方、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は、
「とりあえず一歩前進だけど助成金でやるのかー。義務化すればいいのに」
とツイート。コラムニストの勝部元気氏も、
「義務ではなく助成というお金による誘導。甘過ぎる」
と厳しく指摘している。
一般からも、
「なんかおかしくね? 労基法遵守は当たり前じゃんw補助金云々じゃなくてちゃんと取り締まれよw」
「助成金じゃなくて罰金だろう...」
「普及じゃなくて義務化でお願いします...、普及はしないから。義務化して違反企業名公表くらいじゃないと...」
など「助成金ではヌルい」との批判が続出。
「家に仕事持ち帰るってのも同時に規制しないと大変なことになるのでは」
「定時にカード切らせてから残業させて、会社は助成金もらうし残業代も払わない、ってパターンしか見えなかった」
と、前途を危ぶむ人も少なくないようだ。
「規制は不要」という人からはこんな声も。
「勤務間インターバルやら、朝方勤務やら、世間で色んな取組がなされてるけど、時間を一律で縛られると仕事やりにくいんだよね。好きにやらせて欲しいってのが本音」
(MM)