内閣府が2016年5月18日に発表した16年1~3月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%増となり、この成長が1年続くと仮定した場合の年率換算で1.7%増となった。プラス成長は2四半期ぶり。ただ、2月が例年より1日多いうるう年だったことから、その「うるう年効果」を除けば景気の実勢は「足踏み状態」とする見方もある。
景気はよくなっているのか
項目別では、全体の6割を占める個人消費が前期比0.5%増で2四半期ぶりのプラス。ただ、うるう年で消費が押し上げられたほか、0.8%の大幅減となった前期(15年10~12月期)の反動と捉える向きもあり、見かけほどではないと割り引く見方もある。また、設備投資は1.4%減と3四半期ぶりのマイナス。円高や世界経済の減速懸念などを背景に、企業の投資姿勢が慎重になったとみられる。
物価の影響を含め、より生活実感に近いとされる名目GDPは、前期比0.5%増、年率換算では2.0%増。名目でも2四半期ぶりのプラス成長となった。
菅義偉官房長官は16年5月18日の会見で、今回のGDP速報値は、17年4月に予定されている消費税率10%への引き上げに向けた判断材料には「ならない」とコメント。「予定通り実施する方針に変わりないと安倍晋三首相が答弁している。その通りだと思う」と話すにとどめた。
日経QUICKが集計した事前の民間予測の中央値は、前期比 0.1%増で、年率は0.3%増だった。事前の市場予想を大幅に上回る数字が出たことを受け、経団連の榊原定征会長は18日、首相官邸で「(増税に向けた)一つの土台ができたのではないか」などと記者団に話したという。