厚生労働省が2016年5月16日に公表した、「過労死」に関する企業調査で、1か月の残業時間が80時間を超える正社員がいた企業が22.7%に上る実態が明らかになった。うち11.9%の企業では、月100時間を超える残業をした正社員がいたという。月80時間の残業は「過労死ライン」と呼ばれ労災認定の基準にもなる。
業績が「悪い」と残業が減る傾向も
14年11月に施行された「過労死等防止対策推進法」に基づいて実施された調査で、厚労省とみずほ情報総研が15年12月から16年1月にかけて1万154社にアンケートを送付。1743社から回答を得た。
調査時点での直近3期の経常利益と残業時間の相関では、「業績がよい」企業ほど、残業時間が伸びる傾向が出た。「最も残業が長かった正社員の時間外労働時間は月80時間以上」と回答したのは、3期とも黒字の企業では26.2%に上り、3期すべて赤字の企業では8.1%にとどまった。
厚労省の担当者は、J-CASTニュースの取材に、「企業の業績と時間外労働の時間を関連付けた調査は初めて。今回の結果を参考に、さらに調査を深掘りしていきたい」と答えた。