出遅れ組はあきらめの境地に立とう 今からでも間に合う対策はこれとこれ

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   今日のテーマは「就活生の五月病」です。今年(2017年卒採用)は選考解禁が6月。そこで5月はエントリーシート(ES)の提出締め切りが集中します。

   一方で、IT業界などを中心にすでに選考が始まり、内々定が出ている企業もあります。選考と内定出しが交錯する時期はどの年度にも存在します。それが、今年は5月なので「就活生の五月病」という次第。

自分の弱さを認められるか

うつむくな! 負けを認め、もう一度上を見よう
うつむくな! 負けを認め、もう一度上を見よう

   この五月病、大きな要因として就活生たちの企業研究・業界研究の遅れがあります。

   普通、学生たちは総合商社と決めたら総合商社、大手メーカーなら大手メーカーにしか目を向けません。他の業界や企業も含めていろいろと比較検討した結果ならまだしも、決めた理由の大半は「大手企業だから」「グローバルなことができそうだから」など、ごく浅いものです。それを志望動機にしたところで通るわけがありません。「社会貢献がしたい」「街づくりをしたい」「国と国を結びつける橋渡し役になりたい」などとひねってみても同じです。

   この企業研究・業界研究の遅れ、実は当の学生も気付いています。

「どうも、このままでは弱すぎる」「これでは、内定が取れないのではないか?」

そういう声が聞かれます。

   一方で、周囲の学生が内定を取るのを見て、焦ります。

「自分も早く就活を終わらせたい!」

この焦りは、ここ数年続く売り手市場も助長しています。ゼミやサークルの友人が順調に内定を取る中で一人取り残されるのは、自分が人より劣っていることを如実に示すことになります。自分の弱さを素直に認められる学生なら、「五月病」にはかかりません。が、大半の学生はそれができません。かくて、浅い企業・業界研究のまま、選考に突入することになります。

起死回生めざしてなすべきことは

   この「五月病」、引っ張ったままだと選考でも負け続けることは明らかです。では、どうすればいいか。

   キーワードは「あきらめ」です。負けを認める、と言ってもいいでしょう。

   内定を早く取る学生、あるいは早く取れそうな学生も、決して楽をしているわけではありません。就活のスタートそのものが早かった、あるいは、留学や部活など大学1年のときから力を入れているものがあるはず。だからこそ、内定を早めに取れるわけです。

   「五月病」の学生は就活のスタートそのものが遅い、という特徴があります。出遅れておいて、それで楽をして内定を得ようとしてもそれは無理な話。負けを認めてあきらめたうえで、志望企業以外にも広く、企業研究・業界研究を進めていくべきです。

   もちろん、就活そのものが長期化することを覚悟しなければなりません。6月の選考解禁から2次募集に参加することを考えると、秋ごろまでかかるとみておいたほうがいいでしょう。

   また、時間が足りないので、できるだけ効率的に事を進めること。

   就活のスタートが遅い学生は、自己分析をしっかりやることで挽回しようとしがちです。

   しかし、今さらのんびりする余裕はありません。それよりは、企業説明会を1つでも多く回って見ておくほうがまだまし。

   筆記試験に自信がないからと言って、全部をやる余裕はありません。一番苦手な分野に一点集中して取り組むほうが得点できます。多くの文系学生は筆記試験のうちの数学(非言語分野)が苦手で国語が得意。ならば、国語を7割から8割にするよりも、数学を4割から6割、7割に引き上げた方がいいでしょう。

   時間がいくらあっても足りないかもしれませんが、大丈夫。社会人だって似たようなものなのですから。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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