セブン&アイ・ホールディングス(HD)会長兼最高経営責任者の鈴木敏文氏が退任する。後任に、セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長兼最高執行責任者が内定し、セブン&アイHDの新社長に就任する。
日本にコンビニエンスストアを根付かせ、「コンビニの神様」「流通のカリスマ」などの異名を持つ鈴木氏が表舞台から退場することで、今後、業界ダントツの売上高を誇るセブン-イレブンはどう舵を切っていくのか。注目が集まっている。
現場の声を聞く姿勢で
井阪新社長は1980年、セブン-イレブン・ジャパンに入社。商品本部でキャリアを積み上げた。今後のコンビニ経営について井阪氏は、「週刊ダイヤモンド」(2016年5月14日号)のインタビューで、
「コンビニの成功要因は、現場のイノベーション力です。イノベーションを起こすには、現場の声をダイレクトにくみ上げねばなりません。上意下達では駄目なんです。現場の声を聞く姿勢が重要です」
と話している。
また、産経ニュースのインタビュー(16年5月9日掲載)では、
「今までほど高密度で関わることはできないかもしれないが、ポイントでどういう商品戦略で、どうお客さまに利便性を提供していくかということを私の後任のセブン-イレブン社長の古屋一樹副社長と一緒に考えてチェックする。47都道府県で未出店の沖縄県は近い将来必ず出店する」
と語っている。
少なからず案じる声
これまでのセブン&アイの経営は、鈴木氏の強いリーダーシップによりトップダウンで進められてきた印象が強い。その「カリスマ性」こそが成功の源泉だと考えている人が少なくないようで、ネットからは、カリスマなき「セブン」の将来を案じる声が漏れ聞こえてくる。
井阪新社長のインタビュー記事などを受け、ツイッターでは、
「カリスマの鈴木さんが創ったセブンをサラリーマン社長にやらせたらどの道上手くいかない気がする。新しい発想や哲学がサラリーマン社長にはないからね」
「どうなるかな。成長止まるかな」
「スピード感はだいぶ遅くなりそうですね」
といったつぶやきが散見される。
「前任者をかき消すくらいの思い切った企業経営を期待したい」
と、風通しがよくなることへの期待がある一方、
「やっぱり新体制のもとでヒット商品、サービスを生んでから語ってもらわんとね」
などのシニカルな意見も聞かれた。
新たな経営体制は、2016年5月26日の株主総会を経てスタートする。(MM)