ゴールデンウィーク明けに元気な新入社員の顔を見るのを楽しみにしていた。
新入社員のA君は、社が久々に採用した期待の新人だった。「来てもらってよかった」とB課長は本音でそう思っている。採用コストもここ数年、上昇の一途だ。その中でやっとつかんだ有望な新入社員。人間関係良し。仕事の態度良し。B課長、GWに家でくつろぎながら、A君の早期の戦力化という次なる目標に向かって心を砕いていた。
しかし――。
ハイリスク期間を乗り切るには
A君は出社せず、届いたのは「退職願」だった。B課長は慰留に努めたが、A君は首を縦に振らない。退社理由は「なんとなく、合わないんです」。
「五月病」の典型である。
五月病とは、ゴールデンウィーク明けに出社拒否などを伴う、うつ状態などを指す。最近では新入社員研修明けにも見られ、それを六月病ともいう。厳密な定義はない。
「昔軍隊、今会社」という言葉があった。かつて新兵が上官に「軍靴が足に合いません」と訴えると「馬鹿者、足を靴に合わせろ」と怒鳴られたという。会社でも軍体調がまかり通った時代があった。現代ではこんな言葉を使おうものなら「パワハラ」と受け取られるリスク大だ。
むろん会社を辞めたからといって生きていけない時代ではない。しかし、今や「自分に合うこと」を優先して職場や会社を探す人々が増えている。
新入社員が新しい環境に馴染むまでの期間は、どうしても不適応が発生しやすい。この期間をハイリスク期間という。このハイリスク期間を乗り切り、社会人として仕事をする環境に適応するには、どうすればいいのだろうか? 軍隊の流儀でも、我慢しているうちに「靴の皮が伸びて、足に馴染んできた」といこともなくはない。
時代は変われども、忍耐、我慢が時には不可欠だ。が、そのために周囲の人間はどう対応すればいいのだろうか。3つのポイントを挙げてみたい。