味の素は、2020年度までに社員の所定労働時間を1日7時間に短縮する。2016年5月10日、残業を前提とした「日本的慣習の働き方」の改革を推し進める方針を発表。働く時間の短縮と同時に定時退社を前提とする「グローバル基準の働き方」を目指すという。
残業趣味の人こそ意識変革を、と労組
同社は13年に「Work@A~味の素流『働き方改革』」プロジェクトを立ち上げ、社員に「働き方計画表」の提出を求めるなど独自の取り組みを実施。ワーク・ライフ・バランス(WLB)の改善とともに、「時間生産性」を向上させることを経営戦略上の大きなテーマに据えていた。
こうした動きの背景には、労働組合の要求もあるようだ。同社労組は12年、坂陽一委員長名で、「味の素ワーク・ライフ・バランス・ビジョン」を発表。「会社勤務が趣味のように残業している人こそ意識変革をしなければならない」などといった強い語調で、働き方の改善に取り組み、WLBを向上させることに注力するべきだという主張を展開していた。
同社労組は、16年春闘の労使交渉で、月額給与を一律に底上げするベースアップではなく、労働時間の短縮を要求。15年度の所定労働時間実績が1日7時間35分だったことから、所定労働時間を20分間(年80時間)短縮し1日7時間15分とすることで労使が妥結。17年度から実施される。