超過勤務+高圧上司でもう限界 と産業医に相談したらとんでもないことに【「フクロウを飼う」弁護士と考える】

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報告してほしくない相手がいるときは

   たとえば、従業員に過労による健康上の問題が認められた場合には、これを改善すべく、産業医は会社に対して労働時間を短縮するなどの策を講じるよう勧告することができます(労働安全衛生法13条3項)。ただ、この場合もできる限り本人の同意を得るように努めるべきですし、場合によっては個人が特定されないように従業員の名前を伏せるなどの配慮も必要でしょう。それから、精神疾患に関する診断名やHIVなどは誤解や偏見を招きやすいものであるため、特に慎重な配慮が必要となります。

   今回のご相談では、産業医の報告の仕方に問題があったのか、報告を受けた上司の受け取り方に問題があったのかは詳しくは分かりませんが、こういったトラブルがおきないように、産業医に相談する際には、報告してほしくない相手についてはその旨を明確に伝えておくようにしましょう。

   産業医は、ただ相談に乗ってくれる医師ではなく、よりよい職場環境をつくるためのお手伝いをしてくれる医師です。今後は、そのことをきちんと理解し、産業医に相談をするようにしましょうね。

ポイント2点

●労働者が常時50人以上の会社には必ず産業医を置かなければならず、産業医は通常の医師と同様に守秘義務を負う

●産業医は、従業員に健康上の問題があると知った時には、会社にこれを指摘・報告する義務も負っているため、情報を会社に報告することが許されている

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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