完全さ求め過ぎもいかがなもの エントリーシートの罠

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罠その3=設問の指示に正しく答えていない

   罠というよりは学生側が勝手に自滅しているだけ、と言えるかもしれません。どういうことかと言えば、設問にきちんと答えていないケースです。

   たとえば、次のような設問。

   1:「周囲と協力して目的を達成する過程において、あなたがとった具体的な行動を記述してください」

   2:「自分自身や所属組織に変化が必要だと感じたことはありますか? その理由とあなたがとった行動を具体的に記述してください」

   どちらも、どうとでも取れる設問です。しかし、よくよく読むと、設問の指示は微妙に異なります。

   設問1は、「周囲と協力して目的を達成する過程」とあります。ということは、素直に「サークル(あるいはアルバイトでもゼミでも何でもよい)を頑張ってきた」でいいでしょう。

   ところが、設問2には「変化」というキーワードがあり、「その理由」を書け、との指示。

   ですから、設問1と同じ「サークルを頑張ってきた」ではダメで、なぜ変化が必要だと思ったのか、その理由を書く必要があります。

   また、設問2には「自分自身や所属組織」とあります。サークルやゼミ、アルバイトなどで書くネタがなければ、自分を変えようと思った、という話でも問題ありません。一方、設問1には「周囲と~」とあります。ということは、自分ひとりだけの話ではアウト。周囲と、つまり、サークルでもゼミでもアルバイトでも何でもいいですが、他の人と一緒に活動した話にする必要があります。

   このように指示を無視して、指示に答えていない、というエントリーシートが多数見受けられます。

   それでは、罠にかからないためには、どうすればいいのでしょうか。

   罠その1の「時間」と罠その2の「前提条件」については、まあ、意識を変えてください、としか言いようがありません。

   罠その3の「設問の指示」については、就職課の職員でもカウンセラーでもいいですし、友人でもいいので、第三者に聞いてみましょう。就活の結果が直接影響する本人に設問の指示が見えなくても、冷静な人が見ればあっさりわかることがほとんどです。

   結局のところ、エントリーシートは完全さを追い求めると泥沼に陥ります。ある程度は割り切って量産していくのが一番。

   納得できないという方は、ウインストン・チャーチルの名言を2本どうぞ。(石渡嶺司)

   「不利は一方の側にだけあるものではない」

   「完全主義では、何もできない」

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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