罠その2=前提条件の曖昧さに気づかない
大学受験と就活が決定的に異なるのは、前提条件です。
大学受験では、前提条件を受験生が変えることはできません。しかし、就活だと、ある程度、変えてしまうことが可能です。
たとえば、受験の国語・現代文。「主人公の心境にもっとも近い選択肢を選びなさい」という設問であれば、主人公の心境が表れている部分を本文から探しだし、それにもっとも近い選択肢を選ぶことが前提条件です。
では、就活ではどうでしょうか。
「あなたは○○で、どのように成長し、どのような夢を実現したいですか」
これは、今年(2017年卒採用)実際に出された○○という商社の設問の一つ。設問はこれだけです。
この問いについて、複数の学生から質問が来ました。
「この商社の事業などを答えに盛り込んだ方がいいですか?」
こういう質問をしてくる、ということは、罠にまんまと引っかかっていると見ていいです。
答えは簡単で、「どっちでもよい」。自分の気になる事業や部署があって、そこで働きたい、ということであればそれを書いてもいいでしょう。もしも、うまく書く自信がないなら、その商社とは無関係な自己PRだけでも構いません。「信頼される社会人になっていたい」などでもOK。
この商社の設問のように、前提条件をはっきりさせない問いがエントリーシートでも面接やグループディスカッションでも多数あります。そこには、学生が前提条件の曖昧さを受け止め、自分の回答をどう組み立てるか、それを見てみたい、という意図があります。もちろん、そこまで深くは考えず、好きに答えてほしい、という企業もあります。
企業側の意図はどうあれ、前提条件が曖昧なら、どのように回答を作っていくか、そこが腕の見せどころとなります。