悪に手を染めた者はしっぽを出す その6大兆候を見逃すな

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トップ6は不変

   ちなみに、不正の兆候の2位以下は(2)カネに困っている、(3)発注先や顧客と異常に親密な関係にある、(4)不誠実な態度が目立つ、(5)仕事を分担したがらない、(6)離婚など家庭の問題を抱えていると続く。ACFEによれば、トップ6は調査開始以来変わっていないそうだ。

   これらの6つには因果関係があるといえるだろう。例えば、Aは浪費を続けてカネに困り、下請業者との親密な関係を悪用してキックバックを受けていた。さらに、不正が発覚しないよう、会社の経理はすべて1人で仕切っていたと考えられる。

   この上場企業は、親会社による子会社取締役の監視強化、子会社取締役のローテーション短期化などの再発防止策をとるそうだ。それに加えて「不正の兆候への感度向上」トレーニングを全役職員に実施し、兆候に気づいた者がすぐに会社に伝えられるようにすることを勧めたい。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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