新人研修の欠席者倍増で思い至った、ある「歴史のめぐりあわせ」

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どんな時に辞めたくなったか

   ある企業で営業チーム強化のお手伝いをしていた時のこと。ゆとり世代のグループヒアリングで私は、「これまでどんな時に、会社を辞めたくなったか」という質問をしました。私は「実績が上がらず、叱責される時」とか、「失敗してお客さんに叱られた時」といった答えを予想していたのですが、少々外れていました。

   皆が一様に共感していたのは、「新人時代に、何をやっていいのか分からなかった時」だったのです。逆に「叱られることは、プロとして仕事をしているという実感が得られる」という意見も出るほどに、辞めたくなる要素とは少し違うのだと。

   「一番辞めたかったのは、新人時代に何をやっていいのか分からなかった時」。この発言を思い出して、10日で退職し研修に来なかった4人もそうだったのかもしれないと想像しました。

   ではなぜ受け入れ側の企業は、新人が「何をやっていいのか分からない」状況を作ってしまったのでしょうか。

   「ここ数年、毎年新人を数人採用するものの、必ず2~3か月で辞めてしまう社員が出る」という、IT機器販売のD社社長から聞いた話にそのヒントがあるように感じました。

「今の連中はヤワなやつが多いから厳しくやりすぎるなよ、と管理者に口酸っぱく言っているのですが、それでも毎年辞める新人が出てくる。現場でやりすぎたのではないかと実態を調べると、今の管理者には、叱るどころか新人から嫌われたくないとばかりに、指示すら出せずに自分ですべてやっちゃう連中が多いのです。それを新人は、自分は会社から必要とされていないのだと勘違いして、『存在感を感じられる会社』への転職を考えるようなのです」
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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