「具体的に」と言われピンと来ない諸君、つまりこういうことなのだよ

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上の世代との接触を見逃すな

   アルバイト以外ではどうでしょうか。定番と言えば「サークル」に「ゼミ」ですか。ここでもまた、具体性が問われます。サークル・ゼミの場合、アルバイト以上に同世代の学生同士のやり取りが紹介されることが多いため、より具体性が必要です。

   例4:「サークルでは副部長として部員を取りまとめる立場にありました。意見を調整することでサークル全体が盛り上がれるように工夫をしました。この経験を貴社でも生かしたいです」

   例5:「サークルでは副部長として部員を取りまとめる立場にありました。サークル合宿をどこにするかで意見が対立したときは私が仲を取り持ちました。この意見調整の経験を・・・」

   例4と例5は同じ学生の書いたものです。例4だと正直、誰でも書けますね。

   私に例4の添削依頼が来たので、「具体的に!」と言ったら、出てきたのが例5。本人にすれば、これで具体的なのかもしれませんし、たしかに例4よりはまだまし。

   とは言え、意地悪く言えば、「合宿地をどこにするかでもめたぐらいのことを丸く収めただけで、『経験を生かしたい』と言われてもねえ(苦笑)」となりかねません。

   ちなみに、例4も例5も、ガクチカへの回答。なぜ、具体的なことを書かないでおいて、その割に自己PRを入れたがるんだ? そもそも何のサークル? 社会人とやり取りするとか、なんかなかったの?

「えー、普通のボランティアサークルですよ。社会人とのやり取りと言っても、非公認サークルだったのを大学の公認サークルにするとき、学生課の職員と交渉したくらいで」

   それ、楽だったの?

「大変でした。うちの大学、公認サークルになるのがかなり難しいので」

   だったら、それ書こうよ。

「え? そんなのでいいんですか?」

   学生課との交渉が、なぜサークル合宿地の選定調整よりつまらないことと感じるのか、そこがわかりませんが、出てきたのがこれ。

   例6:「ボランティアサークルは私が所属した当初、大学の非公認サークルでした。公認サークルとなるためには学生課の厳しい審査を通る必要があります。そこで、今まで活動が不定期だったものを週1回としました。活動の模様を撮影し、その動画をサークルサイトで公開するようにしました。協力してくれる大学の先生を増やすために全研究室を回り、推薦文を書いてもらうように依頼しました。審査当日は資料を見やすく、動画も一部公開するなどした結果、公認サークルとなることができました」

   これ、例4・5と同じ学生ですよ。信じられます?

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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