「具体的に」と言われピンと来ない諸君、つまりこういうことなのだよ

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他との違いをひねりだせ

   と言って、固有名詞や業態を明らかにして答えれば具体的、となるわけではありません。スターバックスの竹橋パレスサイド店なのか、川崎モアーズ店なのか、店舗名まで出す必要もありません(個別の店舗に紐づけてアピールしたいなら別)。

   では、具体的とは何か?

   ともかく、友人や、カウンセラーなどの社会人に自分のアルバイトのことを5分間近く、細かいことも含めて話してみてください。話す相手がいなければ、普段利用しているコンビニでも飲食店でもいいので、業態の違う他のアルバイトの仕事と自分の仕事がどう違うか、つらつら考えてみてください。同じようなアルバイトでも絶対どこか違うはずです。

   しかし、私が「話してみて」と言うと、ほとんどの学生は、

「えー、でも普通ですよ、私のアルバイトは」

と、尻込みします。

   まあまあ、騙されたと思ってさあ、とりあえず話してみなよ、と学生を促すと、

   例1:「いや、普通の中華料理店なんですけど。5店舗はあるかな、という程度のチェーンで、知名度も低いし・・・。厨房は中国人留学生ばかりで日本語があまり通じないので、そこが大変なんですけど」

   例2:「よくある喫茶店チェーンなんです。まあ、コーヒーの種類がなぜか30種類くらいあって、はじめのうちはその説明が大変でした。今は全部、飲み比べて説明できるようにしていますけど」

   例3:「ごくごく普通の定食屋ですよ。野球場が近いので、イベントや試合があるときは店頭販売用のお弁当をたくさん用意します。その準備とか呼び込みとか、それはちょっと大変でした」

   「普通の」「よくある」と言ってはいますが、よくよく聞くと、それぞれ違いがあります。

   例1の学生は中国人留学生アルバイトとのコミュニケーション、例2はコーヒーの種類説明、例3はイベント時の準備・販売。

   そこで苦労したことは何か、などを事細かに説明する、それが「具体的」です。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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