社会人になりたてほやほやの新卒も、ちょっとヒネた感のある中途組も、職場に新しい顔として入ってくるこの時期。デキる新参者の出現に「ほぉ」と感心している、あるいは「むむっ」と焦りを感じている先輩社員も少なくないのではないか。
ネット上では、そんな「新人に抜かれてしまった」会社員からの、「このままでもいいのだろうか」という相談が寄せられている。
先輩面はしないから
Q&Aサイト「OKWAVE」に、「会社員として、後輩に抜かれる先輩は悪人か」という相談が投稿された(2016年4月5日)。
投稿者は入社7年目の29歳男性。次長との面談で、「お前は入社3年目の後輩どころか、新人にも抜かれているよ」「まあ彼は彼、私は私なのかも知れないけどさあ」などと言われてしまったそうだ。それでも、良い気持ちはしないが「抜かれたら抜かれたで仕方ないと思います」と、淡々と心境を語る。
「『いい中学→いい大学→いい会社』というコースを歩めば、体育ができなくても音楽、美術ができなくても、コミュ力ゼロでも人生安泰という価値観のご両親に育てられ」、体育会系の民間企業に向いていないと自認している投稿者。
「もちろん仕事について改善していきたいし、他の仕事に移ろうと資格の勉強を密かにしていたりはしています」とした上で、
「後輩に抜かれ続けようが、自分は自分なりに正社員、社会人として、置かれた場所で咲いて良いでしょうか?その代わり、後輩の皆さんに先輩面しようとも思いません」
と、追い抜かれてもマイペースは崩さないと宣言する。最後に、
「皆さんの周りで、後輩にどんどん抜かれて、後輩や部下を持たない社員は、どうなっていますか?」
と、意見を求めた。
「枯れた」「萎れた」ではだめ
反応はさまざまだ。
「仕事に対して真摯に向き合っていてやる気があるけど事情があったりして後輩に抜かれるというのはいたしかたないと思います」
など「努力しているならOK」との意見が寄せられたかと思えば、
「ある先生は教頭や校長にならないの?と言われたら『子どもたちと付き合っていたいんです』と言いました。給料だって待遇だって断然いいはずなのに自分の好きなことをしている人。こういうのもありかなと思いますね」
と、あえて出世を求めない生き方もアリだ、という書き込みも。さらに、
「クビにならないから安心して自分で調べたりせずに人に聞くことばかりで努力していない人にはイラッときます」
と、努力不足で後輩に抜かれていく人には厳しい目を向けるという回答者もいた。
置かれた場所で咲いて良いか」との問いかけには、
「『置かれた場所』が会社が認めてる場所であれば......という条件なら良いと思います」
「置かれた場所で『咲いて』なんぼのもんってことなので『枯れた』『萎れた』ではその場にいる意味がない」
といった回答が。
「後輩や部下を持たない社員はどうなっているか」については、
「役職や収入も上がらないで寂しそうに働いてます」
「会社からいなくなる。最初から最後まで一人で完結する仕事はないので組織の指揮ができないと仕事はなくなる」
などと案の定、職場の厳しい現実が報告されている。
「自分には何かがある」
当JCAST会社ウォッチは、成功をおさめた人でも過去には「後輩に抜かれる人生」を送っていた時期があるというエピソードを紹介して、質問者のような「自分は自分なりに」社員への激励としたい。
「ワイルドだろぉ?」のギャグでおなじみのお笑い芸人、スギちゃんだ。
夕刊フジのサイト「ZAKZAK」に連載された「私の逆境時代」(2014年9月5日掲載)によると、スギちゃんは名古屋よしもと所属時代にコンビを組んでいた。
「養成所で若手のライブがあって、5週連続で勝ち抜けば劇場に上がれるシステムだったんですが、同期はどんどん上がり、後輩には抜かれるばかり。結局勝ち抜くのに1年半かかりました」
と後塵を拝し続けたエピソードを告白。しかし、
「後輩に抜かれても、楽しくやってました」
という。
その後、事務所を解雇されコンビも解散するなど苦境に立たされ続けたが、2011年、占い師のゲッターズ飯田さんのアドバイスで、それまでの「杉山えいじ」から「スギちゃん」に芸名を変更。直後にピン芸人のコンクール「R-1ぐらんぷり」で準優勝する。
スギちゃんは、
「自分には何かがあるという感触がありました。それが支えてくれたのかな」と振り返る。
今は後輩に追い抜かれ続けて鬱々としている人も、自信を失わずに仕事を続けていれば、「置かれた場所で咲ける」日が訪れる可能性がある。(MM)