痛感する企業承継の難しさ 経営者は誰を最優先に考えるべきか

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

名経営者と言えるのか

   企業コンサルタントのW氏は手厳しい。

「後継育成はオーナーだろうとサラリーマン社長であろうとも、経営者たる者の重大な責務。それができていなかった時点で、鈴木氏は名経営者ではないということ。後継育成ができなかったことをメディアはもっと責めてしかるべき。後継育成ができない経営者はダメなのだということを、世の経営者の皆さんに認識してもらう絶好の機会と思う」

   私も多くの企業経営者を見てきた立場から言えば、やはりW氏の意見に近いものを感じました。そのマネジメントでどんなに会社を発展させ業績を伸ばそうとも、やりっぱなしではダメで、しっかり次代に引き継いでこそ完結するものと思います。なぜなら経営者自身が退任した後も会社は延々と続く、いや続かせかなくてはいけないのであり、企業経営の継続性を確保できる体制をつくることは、何よりも経営の最重要任務であると思うからです。

   私の知る50代後半のY社長は、社員約100人を抱える中堅企業のオーナーです。一代で今の会社を作り上げた、傑出した経営手腕を持つ典型的なワンマン経営者。すでに成人した御子息が二人いますが、自身の会社には入れることなく医師と建築士という職を手につけさせ、自身の会社とは全く無縁な人生を送らせています。

   御子息が大学を卒業されたタイミングで、後継問題について尋ねたことがあります。すると社長はこんな答えを返してくれました。

「僕の後をうちの息子たちが継げるとは思わないから、会社に入れることは最初から考えていません。そうかと言って、イエスマンばかりの社員に僕のあとは到底務まらない」
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
姉妹サイト