学生を惑わす「年収」という数字マジック 給料外のうまみにも目を向けろ

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実際より高く見えたり、低く見えたり

   ここからやや奇怪な話を書きます。

   この平均年収、実際より高く見える企業と低く見える企業とに分かれます。

   高く見える企業はどういうところかというと、業界はさまざまですが、ホールディングス方式にしている企業は怪しいと疑っていいでしょう。

   ホールディングス企業には、本社機能の一部しか集まっていません。年収が低くなる現場職は切り離されるため、その分、平均年収は高く見えてしまいます。

   ホールディングス企業で、しかも社員数が少なく、実際の採用・勤務はホールディングスに連なる関連企業といったケースは要注意です。公開された平均年収よりも実際は低い可能性が相当あります。

   ただ、こうした企業も、別に見栄を張っているわけではありません。ホールディングス方式にする方が経営効率はいい、などの理由でそうしているだけです。

   ところが、平均年収が実際より低く見える企業の中には、意図的にそうしているところがあります。業界で言えば、商社や金融など。業界リーディング企業も該当することがあります。

   ある繊維・アパレル企業では、高卒の販売職なども含めることで平均年収を引き下げることが慣習となっています。商社や金融などでは、基本給を抑えることで公表数値となる平均年収をやはり引き下げます。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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