「25年間 踏んばりましたが、」
「60→70」
白抜き文字のメッセージに合わせ、整列した社員一同が深々と頭を下げる―氷菓「ガリガリ君」が2016年4月1日出荷分から、10円値上げして70円(税別)に価格変更されるのにともないオンエアされた、赤城乳業の2日間限定「値上げCM」がお目に留まっただろうか。
この春値上げされたのはガリガリ君だけではない。ビジネスパーソンの懐を直撃するあれこれも、続々と値段が高くなっている。
やむなく禁煙に踏み切る人も
まずはタバコ。
日本たばこ産業(JT)は、主力ブランド「メビウス(旧マイルドセブン)」35銘柄を1箱430円から440円に。「わかば」「ウルマ」を260円から290円、「エコー」「バイオレット」「しんせい」を250円から280円、「ゴールデンバット」を210円から260円にそれぞれ値上げした(16年4月1日から)。
仕事の合間の一服が至福というビジネスパーソンにとって値上げはなかなかの痛手のようだ。
ツイッターを見てみると、
「ワンコインで買えんようなったらやめよ」
「値上げ値上げに付き合ってるのが面倒臭くなってきたので煙草やめる」
「ちょっと禁煙考えよう」
など、今回の値上げを機に禁煙に踏み切るという声も少なくない。
庶民の味方も材料高騰で
外食産業にも値上げの波が。
立ち食いスタイルで安く手軽にステーキを食べられるとして人気の「いきなり!ステーキ」(ペッパーフードサービスが運営)は、仕入れ価格の高騰を理由に、「US産リブロースステーキ」を1グラム6円から7円にするなど、好きな肉をグラム単位で注文できる「オーダーカットステーキ」5品目を1グラム0.5円~1円値上げ。平日ランチメニュー4品目も100円~150円値上げした(16年3月1日から)。
ランチタイムを中心に、ひいきにしていたビジネスパーソンは多いようだが、
「ちょっと庶民には高いけど、気軽に食べられると思ってたのに、『いきなり』1割以上アップ。行くのやめました」
「300gのステーキを1500円で食べられるのが魅力だったのに2100円になったら普通じゃん。普通に座れる店でステーキ食うわ!」
と、やむなく見切りを付ける人も相次いでいるようだ。
主に東海・関西地区で庶民の胃袋を満たしてきた老舗ラーメンチェーン「スガキヤ」(スガキコシステムズが運営)も、「原材料費の高騰や昨今の円安の進行による食材の調達費用の上昇」を理由に、ラーメンを300円から320円に値上げするなどの価格改定を行った(16年4月1日)。
「スガキヤの値上げは財布にダメージ...」
「値上げを店頭で知り切ない気持ちになる」
など、受けたショックを率直に伝えるツイートがやはり続出している。
この春の「値上げの嵐」。なかなか上がらない給料、小遣いにあえぐわれわれにとっては、ますます厳しいやりくりが迫られる事態となっている。(MM)