「失敗→怒鳴る」の悪循環を断つ、急がば回れの勘所を知ろう

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自身のワンマンを省みて

   某有名精密機器メーカーでの話。ライバル会社に追随する製品の開発を、先行特許を全く使わず新規に行うよう命ぜられたプロジェクトが、何度となく壁にぶちあたり挫折を味わい、常識的には頓挫が当たり前という状況下で、10年以上をかけて製品化にこぎつけた例があります。

   その開発メンバーにお話をうかがった時、製品化を達成できた要因として真っ先にあげたのが「我々の成果を期待感をもって待ち続けてくれた、社長からの信頼感」でした。「関係性の質」こそが長きにわたり開発者のやる気を奮い立たせ、「結果の質」に繋がったのです。

   F社長にはキム教授の理論とこのエピソードをお話しし、本気で社員を変えたいならご自身のワンマンを省みて長期的な観点で「関係性の質」を高めることからはじめたほうが良い、と即席でアドバイスをしました。

「お話よく分かります。ただ、社員を変えることより自分を変えることの方が数段難しいかもしれません。僕は楽なやり方を選んでいたということなのですね。反省させられます」

そう受け止めてくれたF社長の反応に、この人ならきっと今の壁を乗り越えられると私は思いました。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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