「失敗→怒鳴る」の悪循環を断つ、急がば回れの勘所を知ろう

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悪い時こそ上下の信頼関係が大切

   悪循環をいかにして脱するのか。マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授はこの問題に取り組み、組織の失敗循環モデルと成功循環モデルの違いという考え方で、バッドサイクル(悪循環)をグッドサイクル(好循環)に変える方法を提唱しています。

   キム教授によれば、バッドサイクルは「結果の質」を向上させようと急ぐあまり、やり方や取り組み方に関して命令や押しつけが多くなり、上下の「関係性の質」が悪化。やらされ感から社員のやる気は低下して「思考の質」もダウンします。そうなると、自発的な行動は期待できず「行動の質」まで落ちてイエスマンが増殖する、という構図に陥るのだと。

   失注という結果ばかりを社長が重視するあまり、一方的な改善命令があれこれ連発され社長と社員の関係が悪くなり、それでやらされ感満載のイエスマンが増えていく。M社の流れは、まさしくキム教授の言うバッドサイクルにはまっていると言えそうです。

   では、このバッドサイクルをグッドサイクルに改めるためにはどうすればいいのでしょう。

   一番の問題点は、命令一辺倒による「行動の質」の低下です。すなわち、「行動の質」を上げることが「結果の質」を上げる道だとすれば、教授の理論では、悪い結果が続くときには時間をかけてでもまず「関係性の質」を重視し、「関係性の質」→「思考の質」→「行動の質」という流れで、改善をはかる必要があるのだと言います。

   端的に言えば、悪い時こそ経営者と社員の信頼関係を強くし、結果に対する当事者意識を社員に持たせる。そして、指示待ちではなく社員自らが自主的に改善策に取り組ませるべきだということ。さらに具体的には、社員とのコミュニケーションを増やすこと、特に上に立つ者が「聞く」「待つ」という受け身のコミュニケーションを重視することが大切なのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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