「失敗→怒鳴る」の悪循環を断つ、急がば回れの勘所を知ろう

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「ダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだ~。本当にダメだ、うちの営業は!」

   ある懇親会の席上、数人で「営業担当の育て方」の話をしていたところ、しばらく黙って我々の話を聞いていたITシステム関係M社を経営する顔見知りの40代F社長が、お酒の勢いもあってか突然こう叫び出しました。

「担当に任せておくと、失注(受注失敗)に次ぐ失注。『何やってるんだー!』と、毎度毎度ついつい怒鳴ってしまうわけですが、一向に改善しない。コレ、どうしたらいいのですか」

悪循環をどう断ち切るか

笛吹けど、ついてこず
笛吹けど、ついてこず

   社長の話では、決して怒鳴って終わりではなく、もっと「こうしろ」「ああしろ」と、社長が自身の経験から考えうるあらゆる改善命令を次々出しているのだとか。しかし、毎度その効果は薄く成果改善には結びつかない。結果として、ダメと知りつつ「失注→命令」という同じことの繰り返しに陥っているのだと。

「社長、そのやり方だと営業担当が育たないばかりか、だんだん社員が皆、指示待ちのイエスマンになってくるという悪循環になってないですか?」

そう尋ねると、一言「確かに」と返しこう続けました。

「私が、怒鳴りすぎということですか?それで皆が萎縮して、指示待ちのイエスマンばかりが増えてしまう?そういうことなら怒鳴らない指示方法に変えるよう努力します」
「いやそれは違います。言い方の問題ではないのです。たとえ優しく言うようにしたとしても根本的に今の社長のやり方を変えないことには、悪い流れは変わらないと思いますよ」

   要するにF社長のやり方自体が、悪循環にはまっているということ。となると、その解決法は小手先の見直しではありえず、循環そのものをどう断ち切るか、という問題になるのです。

   実はこの手の悪循環問題は、企業経営においてものすごく多いのです。「売り上げが落ちて、社内にハッパをかけているものの一向に下降スパイラルから抜け出せない」とか、製造現場で「不良製品が発生して、管理強化の指示を出しているが一向に改善しない」等々がそれです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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