自尊心を回復してもらおうと
このようにテレビがダメになっていく様は、今の日本のテレビそのままです。(アメリカのテレビもそうなんだと思いますが)
寒さに震えている人に温かいミルクが必要なように、自尊心が欠乏して震えている人には、自尊心を回復させるものが必要です。通常それは、その人個人に対する励ましであり評価であるはずで、テレビが一人ひとりを褒めあげるのは難しい。
そこで主人公は、その人のアイデンティティーの一部である「国」を褒めあげることで、視聴者に自尊心を回復してもらおうとしたわけです。
もちろん、一時的に自尊心を回復したとしても、世界はなにも変わりません。ニュースキャスターが「アメリカすげー!」といったところで、視聴者の生活はなにも変わらないからです。
同様に、「日本すげー」というテレビを見ても、あなたの生活はなにも変わりません。自尊心を回復するためには、遠回りでも、自分がなにか他人の役に立つことをして、そのことで賞賛されなくてはならないのです。(主人公も最後にそれを気付きます)