経済同友会が2016年3月28日、大学の学部卒業から5年程度までの既卒者を、就労経験の有無を問わず「新人」扱いにすることなどを求めた提言書を発表したところ、異論が噴出している。
日本の「新卒至上主義」は、ひとたび大学を卒業すると極端に就職が難しくなるという現象を生み、それゆえ在学中の就活がいやおうなく重みを増し、「就活のせいで大学生活が疎かになる」という批判を浴びることが少なくない。今回の同友会の提言もそうした新卒偏重の緩和、通年採用への後押しを狙ったものだが、評判は芳しくない。
5年以内に逃げ出す事例も?
関西大学法学部の笹本幸祐教授は、
「はっきり言っとく。こんなことするよりも、新卒採用ってのを廃止する方がはるかに真の意味での通年採用だよ。せめて卒業後1年間は採用対象にしないくらいしてみろよ」
と、提言の場当たりさを難じるツイートを投稿。
北里大学一般教育部の野島高彦准教授は、提言内容の不備を指摘。
「大卒5年以内の正社員がステップアップして別の会社に逃げる事例が増えるのでは?」
と、手にした「新卒カード」を逆手に取る、目端の利いた5年以内組が現れる可能性に言及している。
当J-CAST会社ウォッチ「『アジア海外就職』という選択肢」の筆者で海外就職研究家の森山たつを氏は、ツイッターで、
「もう、卒業後40年は新卒扱いにすりゃいいじゃん。っていうか、こんな事すら自分の会社で決められない人事部って、アホなの?」
と、方針変更を繰り返して求職学生を翻弄する経済団体、企業への反発をあらわにした。(MM)