慢性睡眠不足状態は2晩の徹夜に匹敵
睡眠時間の確保の重要性は過去にも指摘されていた。米学術誌「Sleep」(2003年3月発行)には、ペンシルベニア大学の研究チームによる興味深い調査結果が掲載されていた。
その梗概によると、21~38歳の健康な成人48人を4時間睡眠、6時間睡眠、8時間睡眠の3グループ(2週間実施)と、3晩連続で徹夜するグループの4つに分け、毎日アンケートに答えたりテストを受けたりのタスクを与える実験を行った。
すると4時間睡眠と6時間睡眠のグループは、すべてのタスクにおいて大幅に認知能力が低下し、最終的には徹夜グループが2晩徹夜後に行ったタスクと同じ程度にまで認知能力が低下する状況がみられたという。つまり、何日も6時間以下の睡眠を続けると、2晩徹夜した状態と変わらなくなる、ということだ。
16年3月になって、この結果が複数の日本のネットメディアに紹介され話題に。ツイッターでは、
「そんなこと言ったって学畜や社畜が長時間の睡眠をとれるような環境にないんだよなぁ」
「無理なく6時間以上寝ることの出来る環境な人ってどれだけいるんだろう?凄く少ない気がする」
など、世界的に見ても睡眠時間が短いとされる日本人らしく、何とも哀しい書き込みが相次いだ。
「逆に言えば、2日徹夜しても6時間寝たのと一緒とかブラック企業に言われそうで怖い」 と、恐ろしい事態を危惧する投稿もあった。
徹夜した状態と同じくらいの仕事効率で、風邪も引きやすく、高い死亡リスクまで・・・。働き盛りにとって睡眠を長く取るのがなかなか難しい時代ではあるが、できれば6時間以上寝るよう心がけたい。(MM)