ブラック労働の代表格といえるのが「サービス残業」だ。労働基準法違反だが、少なからぬ企業で横行しているのが現状だ。
労働基準監督署は、そうしたサービス残業の是正指導を行っており、2014年度、未払いの残業代が支払われた労働者の数が過去最多となったことがわかった。
平均額は1人あたり7万円
厚生労働省がこのほど発表した「監督指導による賃金不払残業の是正結果」(2014年度)によると、サービス残業の是正指導で支払われた未払い残業代の額が1企業で合計100万円以上になった企業数は1329企業(前年度比88企業減)。合計額は142億4576万円(同19億378万円増)だった。
対象労働者数は20万3507人で、2002年度の調査開始以来最多となった。前年度比では8万8627人の増加だった。
支払われた残業代の平均額は1企業あたり1072万円、労働者1人あたり7万円。1000万円以上支払ったのは全体の14.7%の196企業で、その合計額は109億7010万円で全体の77.0%だった。
1企業での最高支払額は、電気機械器具製造業の14億1328万円。金融業の9億4430万円、理美容業の6億3321万円と続いた。
具体的なサービス残業の例は、
「時間外労働手当が一定額で支払われていたが、実際の時間外労働時間に基づき計算した時間外労働手当がこれを上回っていた場合でも、超過した分については支払われていなかった」(商業)
などがあった。
厚労省を応援する声も
過去最多の労働者に未払い残業代が支払われたということで、ツイッターでは、「厚労省これはいい仕事」「是非力を入れていただきたい」と、この活動を支持する声が上がっている。
一方で、
「そんな人数と金額で済むはずはない」
「これこそ氷山の一角なんだろうな...」
「たったの20万人な訳が無いんだよなあ......」
など、「まだまだサービス残業に苦しんでいる人は多い」との指摘も多い。
発表は「支払いが1企業で合計100万円以上になった」ケースだけ集計したものなので、実際に未払い残業代が支払われた労働者はもっといるかもしれないが、支払われないまま今もサービス残業を強いられている人は少なくなさそうだ。
(MM)