社内不正を内部告発したい 本当に保護されますか?不安です
【「フクロウを飼う」弁護士と考える】

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匿名告発の場合は

   匿名で内部告発をすることも可能ですが、通報時には匿名でも、その後の事情により通報した本人が特定され不利益な取扱いを受けることがあるかもしれません。しかし、このような場合にも、「公益通報者保護法」によってそのような不利益な取扱いは禁止されます。

   なお、本件では問題とならないと思いますが、「公益通報者保護法」の保護の対象にならない場合であっても、内部告発が正当なものとされる場合があります。

   これまでの裁判例からすると、(1)告発内容が真実か、または真実と信じる相当な理由があるか、(2)告発の目的に公益性があるか、(3)告発の手段・方法が相当なものかなどを総合的に考慮して、内部告発が正当と認められる場合には、仮に会社の名誉・信用が損なわれたとしても懲戒処分を行うことはできないとされています。

   コンプライアンスは、リスクマネジメントと企業価値の向上の両面において非常に重要な要素です。せっかく設置されたコンプライアンス室が、ただのお飾りでは意味がありません。前述したしたとおり不正の目的さえなければ、会社が解雇や不利益な取扱いをすることは許されませんので、ぜひ勇気をもって行動していただきたいと思います。

ポイント2点

●2006年に施行された「公益通報者保護法」によって、通報者に対する内部告発を理由にした解雇、異動などの不利益な取り扱いは禁止されている。

●保護法の対象にならない場合であっても、内部告発が正当と認められる場合には、仮に会社の名誉・信用が損なわれたとしても懲戒処分を行うことは出来ないとされている。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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