「奨学金返済」肩代わりする企業 残高100万円まで出すところも

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   今回のテーマは「奨学金」です。

   日本学生支援機構の調査によると、2014年度時点での奨学金利用者は141万人。大学生だと2.6人に1人が利用していることになります。2004年度時点では4.3人に1人だったので1.7倍も増加していることになります。

   利用者が増えたこともあり、2014年度末における延滞3か月以上の延滞債権額は、2491億円。この延滞者に対しての回収方法が「サラ金並み」と批判されるなど、社会問題化しています。

   この奨学金問題、利率についての誤解(なぜか上限金利3%を現在の金利と誤解する方が続出/実際は2010年以降、最高でも1.57%)、大学進学の是非、教育の公的支援の在り方なども含めて、話がすれ違いがちです。

学生からすれば「返済のためにも高年収の企業に行きたい」

社員の定着につながるか
社員の定着につながるか

   ネット論壇の盛り上がりはさておき、当の学生からすれば、

「奨学金の返済がある以上、高年収の企業へ」

と考えるのは無理ないところです。

   ただ、早いうちから業界・企業研究を進めているか、どうかでも大きな差が出ています。

   早めに動く学生だと、『就職四季報』などを読みこんで知名度の低い高年収企業をうまく探しては説明会・セミナーに参加。内定につなげていきます。

   一方、やたらと大学名などにこだわり、さらに奨学金を借りて難関大への編入を考える学生もいます。費用対効果を勉強しているはずの経済学部にも少なからずいて、君らは経済学部で一体何を勉強してきたのか、と聞きたいところ。

   この奨学金問題、就活にも飛び火しています。

   企業からすれば、売り手市場でしかも広報期間の短縮でさらに採用が難しい時代です。

   しかも、社員が入社後すぐに辞めるリスクもあります。

   そのために、就職ナビサイトや内定者SNS、社員研修などに多額の費用を掛けることになります。

   が、そこまでやっても、社員が定着するかどうかは別。

   だったらいっそ、奨学金の残高の一部を肩代わりして、という企業が出てきました。

   メガネチェーン・オンデーズ(2014年冬開始)や冠婚葬祭サービスのノバレーゼ(2012年開始)などです。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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